よくある相続トラブル

(事例1)夫の借金のせいで一家離散に!

相関図:被相続人夫、相続人妻(Aさん)、長男、長女、次女、合計4人

夫が亡くなり、遺した財産は自宅と土地とAさんを受取人にした2000万円の生命保険金と、300万円の預金です。しかし、夫にはAさんには内緒にして作った借金が2000万円ほどありました。
夫がなくなった後、残された家族は、葬儀や名義変更などの手続きで忙しく、借金のことは詳しく調べることができないままに遺産相続手続きに入りました。その結果、Aさんと長男が2分の1ずつ相続をし、長女、次女は相続放棄をすることにして遺産分割協議書を作成し、それぞれ署名押印しました。
それから、3ヵ月経ったある日、突然サラ金が債権の取立てにやってきて、その後も何度も何度も押しかけてきて結局夜逃げするようなかたちで自宅から出て行かざるを得ないことになりました。
夫の借金の存在を調べてから、遺産分割協議に入っていれば一家バラバラになることはなかったでしょう。

(事例2)親の面倒もみなかった兄が不動産の権利を主張!

相関図:被相続人義父、相続人長男、長女(Bさんの妻)、合計2人

Bさんは、義父と共有名義の家を所有しています。義母が亡くなったときに,Bさん家族は義父と同居することを決め、そのときに義兄から「自分は同居できないから、実家で親の面倒を見てくれ」と頼まれて、家を建てたいきさつがあります。その家は義兄から父親の権利を確保しておきたいということで、区分所有登記をしています。その後、義父が亡くなり、兄妹二人で遺産分割をすることになりました。Bさんは、妻の実家に同居し、義父と義母の二人の面倒をみてきたのだから、土地と建物の区分所有は妻が相続し、残りの財産は義兄に譲るつもりでいました。ところが、義兄から出た言葉は、「財産は土地・建物含め半分ずつにする!」ということでした。遺言書がないので、義兄にも不動産を相続する権利はあります。しかし、家に住んでいるのはBさん家族なので、Bさんとしては義兄の言い分を認めるつもりはありません。
このようなもめごとを防ぐためには、義父が遺言書を作成し、土地・建物は同居して面倒を見てくれたBさんの妻に相続させ、同居しなかった長男には預貯金等の財産を相続させると分けて書いておけば、Bさん家族はそのまま家に住むことになり、長男も現金を相続することができ、あきらめがついたはずです。

(事例3)先妻の兄弟の存在が発覚し、家を売るはめに!

相関図:被相続人父、相続人先妻の子供二人(息子)、長男(Cさん)、長女、合計4人

Cさんの父親は10年以上前に亡くなりましたが、母親が健在だったために、そのときは相続手続きはしていませんでした。その後、母親がなくなったので、ようやく相続手続きをしようと思い必要な書類をそろえ始めましたところ、実家の不動産は、父親と母親で2分の1ずづの共有名義になっており、動産はほとんどありませんでした。相続人はCさんと嫁いでいた妹の二人ですので、不動産はCさんの名義にし、妹には預貯金を渡すつもりでいました。
ところが、戸籍謄本を取り寄せてはじめて、父親に先妻の子供がいることがわかりました。両親からは何も聞いておらず、驚きと戸惑いの中、その異母兄弟から法定相続分の財産の要求を通知してきました。その後遺産分割協議を進め、財産は不動産しかないために、実家を売却して異母兄弟の法定相続分(1人あたり8分の1)を支払うことになってしまいました。
父親が生前、先妻との間に子供がいて、相続人であるということを母親やCさんたちに伝えていれば、生前贈与や遺言書により感情的なトラブルもおこることもなく実家を残すことは可能だったでしょう。

(事例4)残すと聞いていた現金も後妻のものになってしまった!

相関図:被相続人父、相続人後妻、先妻の長男(Dさん)、次男、合計3人

Dさんの母親は高校生の時に亡くなり、父親はその後子供のある女性と再婚しましたが、後妻はDさんたち兄弟に冷たくあたり、何もいい思い出はなかったようです。高校卒業後、家を出て父親の住む家には足を向けなくなり、父親の生活ぶりは知らないままになっていたが、父親が入院したのを聞いて会いに行ったところ、父親は、「後妻の自由にならない預金を残すから心配するな」と言って、それからほどなく亡くなってしまいました。遺産分割するにあたり、後妻から「妻に全財産を相続させる」という遺言書を見せられ、Dさんはそれは父親の真意ではないと思い、後妻に問いただしても財産を公開してくれませんでした。その後、金融機関をしらべてみたところ、父親の預金はすでに後妻の名義になっていました。父親が病床にいたときに後妻が勝手に名義変更をして、財産を全て自分のものになるようにしていたのです。
Dさんと次男の二人は、後妻に財産公開と遺留分減殺請求をするよう、内容証明郵便を送ったが、なしのつぶてでらちがあきませんでした。父親の日常の生活が知れる範囲で、意思疎通をはかり、父親の意思を確認しておけばこのようなトラブルを防げていたかもしれません。

(事例5)会社を継いだのに妹に裏切られた!

相関図:被相続人父、相続人長女(Eさん)、次女、次女の夫(養子)、合計3人

Eさんの父親は、会社を経営していましたが、子供が娘2人ということで、長女のEさんの夫が会社を手伝っていました。父親から、婿養子になってもらいたい申出がありましたが、夫は名字が変わることに抵抗があり、実現せずまま、結局次女の夫が婿養子になることで話が落ち着きました。次女夫婦は両親と同居しておらず、Eさん夫婦は父親の土地に家を建てて両親の近くに住んでおり、夫が会社の代表になっています。
父親がなくなったときに次女から公正証書遺言を提示されましたが、その内容にEさんはびっくりさせられました。Eさんの夫が引き継ぐ会社の株は、経営にタッチしていない次女夫婦が70%、Eさんが20%、代表であるEさんの夫が10%となっていました。会社が使用する土地、建物は次女夫婦が相続し、Eさんは自宅の土地だけしか相続できないのです。さらに、次女は、会社が利用する不動産を売却し、納税にあてるということです。Eさん夫婦にとっては不条理な遺言であり、父親の意思というよりは、Eさんの夫が養子にならなかったことに対する次女の嫌がらせではないかと思われたそうです。そのせいで、姉妹の仲は険悪になったということです。
会社を運営していくにあたり、Eさんの夫が父親の生前に株の贈与を受けていたり、会社の不動産の利用に関して、姉妹間で意思疎通を図っておくべきだっだのではないでしょうか。